こけし日報

制作日記

20221125−1201 『言葉の地層』校正中

11月25日
昼から大阪で仕事。職場の人に聞きたいことが聞けて気持ちがすっきりした。

11月26日
朝整体、研修、昼から『すずめの戸締り』見に行く。電車の行き帰りでちまちまゲラ見てる。整体はもっかい来てって。今年は全体的に不調。メンタルとか病気とかわかりやすいところじゃなくて、歯とか腱鞘炎とか足の痛みとか中途半端なとこに出てる。鼻炎も治らない。

11月27日
1日うちで作業、夜京都で用事。三富は行けなかった。
先住民の話の参考にしようと思って石原真衣の『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー) サイレント・アイヌの痛みと救済の物語 』読んだ。


私は北海道が好きだったけど、それは淡路島の人が開拓民で移住してて親近感があったのと、北の大地のロマンみたいなところに憧れがあったからだった。でも、カナダの先住民の歴史やアイヌのことを知ってから、自分は先住民のこととか植民地主義のことを全然見落としていたことに気付いてちょっと恥ずかしくなってしまった。

11月28日
昼から大阪で仕事、夜神戸で仕事。先方の都合で予定より早く終わったので、ギリギリで『エルピス』間に合った。
中国のウルムチ火災によるデモニュースを見た。

https://www.bbc.com/japanese/63777262


いろいろショック。安田峰俊さんの文章読んだ。

bunshun.jp


英語でfight to against ○○とか、中国語のインターナショナルの「起来」とか聞いてたら私も立ち上がって圧政に立ち向かうぞ、連帯だって気分になるのに、日本語になったとたん、そんなのむりむり〜ってなって冷笑態度が出てくるのはなんなんだろう。


11月29日
朝と午後大阪で仕事。いろんなところにお金を振り込んだ。
『エルピス』の斎藤についていろいろ考えてしまう。

 

11月30日
夜神戸で仕事。電車じゃやっぱ見られなくて夜ちょっとずつ作業しているけど、全くゲラを見る時間がない。やばい。

12月1日
昼から大阪で仕事。仕事いく前図書館寄った。
そのまま帰ろうとして、あれ、なんか忘れてないと思って手帳みたら、夜神戸の仕事入ってた。11月気分だった。やば〜。そのまま電車乗らなくてよかった。仕事飛ばすところだった。

仕事でエッセイ書くことになって、「他人軸」について考えていたんだけど、自分の他人軸ってなんなんだろうと思ったら、それは「概念としてのおじさん」だな〜と思った。20代のとき、若い女の子が楽しくなんかやってるのに対する「評価」的な発言をたくさん聞いたし自分もうけた。いまだに何かやるときにそういう人にちくちく言われないものをと思ってしまう。もちろん女の人でもちくちく言ってくる人はいるんだけど、業界の中心にいる人たちが作った価値観という意味で、「概念としてのおじさん」と言っている。そういう目線で自分をジャッジしてしまうところがすごくあって、それについて考えていたら、なんであんなのに認められようとしていたんだろうと今更目が覚めた感じだった。

『すずめの戸締り』(ネタバレあり)

suzume-tojimari-movie.jp


ティーンエイジャーがうちを出るロードムービーという作りは『天気の子』と一緒だったけど、『天気の子』は男子が主人公だったけど『すずめの戸締り』は女子が主人公だったせいか、安心して見られた。二つほど気になったのがすずめがヒッチハイクするシーンと神戸のスナックで手伝うシーン。変な輩が声をかけてきたらどうしようと思ったけど女性だったから安心した。あと未成年にお酒の場はどうかと思ってしまったが、セクハラとかそういうシーンはなかったので、ほっとした。もう主人公目線じゃなくて主人公のおばさん目線になっているのかもしれない。
こういうアニメはだいたい男の子が女の子に「お前」呼びで上から目線で話すが、草太は終始敬語で「さん」づけだったのも好感が持てた。
今の朝ドラも、柏木以外は子ども時代からも含めて主人公に乱暴な口をきく人がいないのがいい。

www.tokyoartbeat.co

この評論について友達と話していて、私はこの人は批判ありきでみているではないかと思ったが、友達はこの人はこういう境遇だから、作品と震災を完全には切り離してみられないんじゃないかと言っていた。

2011年3月10日に東北を離れ、その後に東京を中心として展開した目を覆うような震災後言説に歯噛みし、そして2022年のいま東北に生活するという若干特殊な境遇にあった筆者による、過剰な読み込みなのかもしれない。

たしかに、わたしがこの作品をエンタメとしてみられるのは、震災の当事者ではないからだと思う。そう思うと、どこまでも自分が部外者の目線でしか東北の震災を捉えられていないことに気付いて反省した。

 

 

20221118-1124 製本・発送、見積もり、原稿依頼など

11月18日
朝大阪で会議、昼から別のところで仕事、夜神戸で仕事。

11月19日

朝研修、夜夫の家族が遊びにきたので一緒にご飯を食べた。ずっと電車で見かけてかわいいと思っていた紙袋のお菓子屋さんのお土産をいただいてめちゃテンションあがった。



11月20日
書くことについてのノートの印刷と製本。



文フリ東京の日だけど、今回は出店せず。『仕事文脈』21号が出ている。「35歳からのハローワーク 」は今回で終了。
今年で40歳になるので、もう11回ほどやったので、きりもいいので辞めさせてもらうことにした。
自分にとっては日本語教師資格を取ったのと、バンクーバージョブチェンジが当たり前の風潮があったのに触発されて始めた企画だった。最初は知り合いの人に男女別に聞いていたが、男性はほとんどが体調や病気の関係で仕事を変えていたのに対して、女性の方がライフイベントで仕事を変えることが多くて、途中から女性をインタビュイーにライフイベントによって仕事を変えた人に話を聞くというコンセプトに変えた。企画のコンセプトを作るのがむずかしくて紆余曲折があった。



『B面の歌を聞け』3号の原稿依頼をした。
今回のテーマは「歩く、走る」で三重の文筆家の方にランニングについて、北海道の文筆家の方にバイクについて、フェミニスト登山部さんに登山について、糸島の本屋さんに地方と移動について、奈良の友人に子供と移動について、などを書いてもらう予定。
すでに6本なのと、私の原稿とインタビューが入る予定。


現在広告募集中で、一枠1500円〜、かなりお得です。
広告はインタビュー広告も掲載可能です。
3万円からでご自身のインタビューを載せられます。

左足の中指の付け根に痺れるような痛みがあって、ものすごく痛い。靴が合わないのか歩き方のせいなのか。


11月21日
朝、昼大阪で仕事、足の指がいたくて耐えられず、整体に予約。半年ぶりくらい。体がガチガチと言われる。このままだったら病気になりますよみたいなことを言われて、さすがにやばいと思って、教えてもらったマッサージ、ストレッチをしてから寝た。夜『エルピス』見た。

 

11月22日
朝大阪で仕事、昼から用事で親が神戸に来ているので会った。弟も来ていた。親は1年ぶり、弟も1年か2年ぶりくらい。
 

 

11月23日
休日だが、ふだん水曜日が休みなので、あまり関係がない。先週受けた仕事の進捗伺いが来ていたので、慌てて返事。
夜、英語カフェでプレゼンイベント。夫が出る予定だったけど、仕事が忙しくて無理そう。二人申し込んで二人発表しないのもなと思って、慌てて準備。四人発表して、四人四様で面白かった。

11月24日
朝作業と、原稿。これで8月からたまってたインタビュー、一旦全部書いて納品。
『言葉の地層』印刷の見積もり出した。


昼から大阪で仕事。ここ数日、職場の人に相談したいことがあって迷っていたが言い出せなかった。
夜『書くことについてのノート』発送作業。
引き続きセルフクラウドファンディングは募集中です。

yagakusha.hatenablog.com



『外は夏』キム・エラン


この間書評でキム・エラン『ひこうき雲』読んでもっと読みたくなった。後味が苦くて、どうとらえたらいいのか、というすごく考えてしまう話が多い。だけど、読後感が悪いとかいやな気持ちになるというのではない。
文章が淡々としていて、そこも好き。
「ノ・チャンソンとエヴァン」は一人で考えこんでしまったけど、たしかサウダージ・ブックスの『「知らない」からはじまる』に感想があったはずと思って読み直したらあった。一人で消化しきれない話は、こうやって誰かの感想を読むとほっとするというか、自分の心の中に置く場所ができて落ち着く。

(ま)&アサノタカオ『「知らない」からはじまる』を買えるお店



今度オンラインイベントでキム・エランさんご本人が登壇するらしいので楽しみ。

https://kimnakajimatalk.peatix.com/


『ゴッド・ファーザー』

amzn.to


義時の元ネタの一つらしいので見た。急に人が死んでびっくりするのとものすごく長いので、1時間ずつ分割して見た(映画ファンに怒られそう)。最初の車から人がいっぱい出てくるシーンが、たけしの『アウトレイジ』と一緒でこれが元ネタかと思った。あと、ゴッドファーザーのテーマはあんまり流れなかったのと、こんなシーンで流れるんだと思ってびっくりした。とにかく人がいっぱい死んで心臓に悪かった。
気が向いたら続きも見る。

20221111-1117 ゲラが出た

11月11日

仕事で終日神戸。夜興味のあるライブがあったが、疲れ果ててそれどころではなかった。1003にチラシ配布。

本日発売の『週刊金曜日』で河内美穂『海を渡り、そしてまた海を渡った』の書評を書いた
三世代の目を通じて中国残留邦人の経験を立体的に描き出す物語。



11月12日
朝研修。夜KUNIRABOのギリガンの『もうひとつの声で』のトークイベントを見た。
動画が公開されるそうだ。

www.kuniken.org

 


11月13日
神戸で『言葉の地層』組版打ち合わせ、午後から研修で技能実習生の管理団体の人の話を聞いた。マスコミは問題点があったときばかり報道するが、実態は違うという話だった。正直日本語学校も同様の点を感じる。全部が留学生とは名ばかりの労働者を集めるための隠れ蓑のように報道されるがそうではない。
正直ちゃんとやってる現場もあるが、制度に矛盾があったり制度が悪いと現場にしわ寄せがいって現場が責められる。しかし本来批判すべきは制度の方だ。運営や現場の人に責任をおっかぶせられてる感じがして、無責任の体系って感じがした。
ワールズエンドガーデンにチラシ配布。


11月14日

昼から大阪で仕事、ズーム打ち合わせ。完成原稿を組版のYさんに送った。ゲラ出しまち。

11月15日

朝大阪で仕事。毎日疲れてあまり読書などをしていない。ファブルと東京卍リベンジャーズを毎日アプリで読んでいる。


11月16日

朝美容院、『書くことについてのノート』を三富中立売書店に出すのでコピーと製本。昼から税務署でインボイス制度説明会。サイゼでテープ起こし。


こちらからもお買い求め可能です。

docs.google.com


試し読みはこちらから

docs.google.com
11月17日
昼から大阪で仕事、夜スタンダードブックストアで阿部航太さんと笹尾和弘さんのトークイベント。ここにもチラシ配布。

www.standardbookstore.net


お二人とも一度取材したことがあったので行ってきた。

kokokoko.net

kokokoko.net

antenna-mag.com

阿部さんは今高知で地域おこし協力隊をやっているそう。ときどき地域おこし協力隊で国際交流関係の求人がでているが、身近な人がやっているのが驚いた。技能実習の人と地域の人とのトラブルがあるか聞いてみたが、逆に技能実習生は研修でかなりそういう注意点を聞いてきたらしく、逆にちぢこまっているようで、心苦しくなると言っていた。この間聞いた管理団体の人とは逆の話で、やっぱり現場によっても立場によっても結構いろいろなのだなと思った。

Yさんからゲラが出てきた。仕事が早くて助かる。
来週は見積もりを出さないと。

20221104-1110 チラシ配布、表紙デザインが出た

11月4日
ともだちに大阪の文フリに出した『ハッピーバース』という小説をもらった。
子供を産むこととか子育てがテーマだけど、自分には絶対書けないものなので、もっと読んでみたい。

11月5日
文庫化した『自転しながら公転する』買った。

自分は結構登場人物に親近感や共感を持ったが、ほかの人の感想を見ると、性格が悪いとか身勝手とか書かれていて、こういう女性に共感する自分もそういうふうに思われるのだろうかと思ってちょっと凹んだ。
主人公の女性は胸が大きいのがちょっとコンプレックスで、それを隠してくれるのが森ガールだったから、そういう服装を好んでいたという部分が、人にはかわいいって言われたいとか思いつつ、性的には消費されたくないという主人公の心情を端的に表していて、その設定がすごいなと思った。
そういう細かい設定とか、小道具がすごいうまい小説で久々に一気読みした。
ちょっとした、でも主人公にとっては大きな事件が起こるのだけど、それを通じて少しずつ成長はしてるけど根本的なところは変わらなくて、そこが主人公のダメなところかもしれないけど、それでも友人や恋人はそういう主人公から離れていくわけじゃない。人間って、そういうふうに完璧じゃないもの同士が少しずつつかず離れず、完全には変わらないけど少しずつ変化しながらまさに「自転しながら公転する」みたいに生きてるんだなと思った。自分が死ぬほど嫌いになることがあるけど、すぐには変わんない。結局ジタバタしながらも自分と付き合って生きてくしかないんだと思った。

11月6日

『スペンサー』見に行く。ダイアナ妃の映画。
もっとドキュメンタリーっぽい映画かと思いきや、クリスマスの三日間、王室のみなさんと宮殿で過ごさなければいけない伝統があって、チャールズは不倫してるし、伝統行事はわけわからんし、懇意にしていた衣装係は差し替えられるし、摂食障害なのに毎日ごちそう、外はパパラッチでダイアナのストレスマックスみたいな映画だった。
お正月に帰省する憂鬱なお嫁さんの話があるが、それのものすごい豪華版みたいな映画だった。
王室という家父長制を濃縮したような世界。
最後ダイアナが一瞬解放されたように見えるんだけど、でも憂鬱な瞳でそれが事故死を予感させるものがあった。
女性の自立がテーマで、設定がお屋敷物のサスペンスムービーの要素、ダイアナの不安定さでサイコスリラー(ただし思い込みではなくて、実際にパパラッチと、撮られた写真が世界中に流通しているので誇大妄想ではない)の要素が入ってて、それにイギリス王室の歴史ドラマもドッキングされ、そしてある一家の物語にも見られる。面白い映画の面白い要素詰め込んだおいしいとこどりの映画って感じだったけど、構成がしっかりしてて、コンパクトにまとまっていた。
私はこういう主題がはっきりしていて、コンパクトな舞台設定と登場人物で、構成に無駄がない映画が好きなので面白かった。衣装もよかった。

spencer-movie.com


11月7日

朝原稿。昼から大阪で仕事。久々にtoibooksに寄ってチラシ置かせてもらう。


11月8日
朝と昼大阪で仕事。帰ってきてから原稿。caloに寄ってチラシ置かせてもらう。
生理zine2号買った。

pontsukudo.thebase.in

このzineは無闇に自己開示を求めないところがいい。
去年行ったフェミニズムの講座で生理について話し合う回があってそれが結構面白かった。私は記名で生理やセックスなど身体のことについては書かないだろうが、クローズドなスペースで話すのは自分の経験を相対化できていい体験だった。

11月9日
朝から原稿、昼から図書館。仕事の参考に竹端寛さんの本を借りた。夜原稿依頼とズーム。
『「低度」外国人材』

日本語教育現場でいろんな外国人に会うが、この本を読んで自分が接するような日本語教育を自ら受けに来るような人は、ほんの一部の上澄みで、自分は在日外国人の一部しか知らないんだろうと思った。日本語教師はよく外国人と日本人の橋渡し役と言われるが、それはあくまでも「日本語を習いたい」とか「日本になじみたい」外国人との橋渡し役であって、ここで描かれているような人とは無縁だ。
この間読んだ『おっぱいとトラクター』でも思ったが、移民にもいろんな人がいて、みんな「かわいそう」とか「日本が大好き」なわけじゃなくて、日本を利用しようと思っていたり、当事者として関わったら大変な人もいるんだろう。だから、あまりマスコミが描く「外国人像」「留学生像」をステレオタイプにしないで、一人一人を人間と見て、付き合っていくことが大事だと思った。もちろん差別はもってのほかだが、先生といっても、日本人でマジョリティといっても、こちらだって一対一で接するときは人間なんだから、それを無視されるようなつきあいはやっぱり難しいだろうなと思った。

11月10日

朝、昼大阪で仕事。夜デザインがあがってきた。いよいよか〜。ほんとに出せるんだろうか。心配になってきた。

この間見た演劇の関係者の方がツイッターでその後ある本の批判をし始めて、変な方向にいってて、演劇の脚本の着眼点が面白いと思っただけに残念だった。

pachinkoは12までしか進まなかった。
本当に自分が英語の本を読めるようになっているのか不安で、5年くらい前に買って途中までしか読めなかったDo Not  Say Without Nothingを読んでみた。ちょっと読めるようになっていて、びっくりした。
5年くらい前にいろいろ英語の本を買ってみたけど全然読めなくて挫折したままだったけど、続けていたら読めるっていうのがわかってきた。前に買って読めなかった本もまた読めるようになるかもしれないから、焦ったり、できなかったと挫折感を抱いたまま放置したりせず、読めるようになる時期が来るから勉強しようと思った。

 

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ナンバーワンにもオンリーワンにもならなくていい

ナンバーワンになる必要はないが、そもそもオンリーワンにもならなくていいのではないかと思った。

編集者をしていたとき、ナンバーワンかオンリーワンしか生き残る術がないと思っていた節があった。
出版業界には文化産業といいながら、店での売り上げやウェブメディアの閲覧数など、いろんなところにランキングがあった。
いくら本は文化産業と言ったって、数字で測られる世界であるには違いない。
知らず知らずのうちにナンバーワンを目指す競争に巻き込まれていた。

作品は一つ一つが違っているから、別にナンバーワンじゃなくてもオンリーワンならいいという意見がある。
けど、それもナンバーワンにはなれないなら、オンリーワンを目指して競争を勝ち抜けというふうに私には聞こえた。
それは方法が違うだけの、別種の競争という感じがした。


子供のときの「個性」を大事にみたいな刷り込みも関係していたと思う。
わたしの子供の時は詰め込み教育が批判されていて子供の個性を大事にみたいなことが言われていた。
個性的=いい子だと思って、個性的になれるようにがんばるみたいな風潮があった。

自分はナンバーワンもオンリーワンもどちらにもなれそうもなかった。
世の中にいくらでも代わりがいるように見えた。

最初、日本語教育業界に入ったときも、まだその考え方をうっすら持っていた。
学生に人気のナンバーワン、あるいは、進学指導でナンバーワンなどなんでもいいからナンバーワンになるか、独自のメソッドでオンリーワン、ユニークなキャラでオンリーワン、そういう個性を出していかないとやってけないんじゃないかという思いがあった。

個人で生徒を集めるならそのような差別化は必要なのかもしれないが、学校勤務の集団授業であれば、そういったことは逆に邪魔なのではないかと思った。

しかし、それは自分の個性を押し殺すという意味ではない。
学生一人一人から見た場合に、合う教師合わない教師というのはおり、学生にとって合う教師が、必ずしもナンバーワンやオンリーワンとは限らないからだ。
学生にとっていい教師になるには、何かに秀でるとか、個性を磨くことよりも、カリキュラムと方針をきっちり理解し、学生の特徴を理解し、指導法を磨き、教材研究をやってという積み重ねしか方法がない。

そして、学生にとってその教師が合う合わないというのは、教師の研鑽とは無縁の場合がある。
他の教師との比較から生まれるものだったり、自分の努力だけでなく、他の教員とのバランスやクラスの人間関係から生じるものだったりする。
そしてある学生と合わないからといって、自分が全否定されたわけではない。
しょうがないけど、合わないなとお互い思っていても、授業をやるし受けてもらうしかない。

教師にとって大事なのは、ナンバーワンやオンリーワンを目指すことでも、そういった学生の評価に一喜一憂することでもなくて、日々の1コマ1コマを精一杯やることだ。
ナンバーワンやオンリーワンを目指すことではない。
それら称号は研鑚の結果に過ぎない。
日々の研鑚の成果は自分の見ている学生に対して注がれるものであり、学生から称賛を求めるようなものであってはならない。
ナンバーワンやオンリーワンも結果の一つであって、目指してやるものではない。
淡々と授業準備をし、授業を振り返り、教材研究をやって、積み上げるしかない。語学の習得と同じだ。他の教員と比較してもしょうがない。

そこではたと気づいた。たぶん出版業界だって同じだったんだろう。
だけど、私には見えなくなっていた。
焦りと不安と自信のなさで視野が狭くなっていたんだと思う。
今ならもう少しうまくやれたんじゃないかって思うこともある。
もう少し早く気づけたらもっと生きやすくなっていた気がする。
けど、そのときはできなかったんだからしょうがない。

自分のために作る

今日の朝変な夢を見た。

夢の中で私は大学院の博士課程を受けるために勉強していて、夫の同僚の人に英語のアドバイスかなんかを受けていた。
私は夢の中でやる気満々で、これから博士になる気満々だった。
起きて、私は朝から勉強しようと思ったけど、私の受ける大学ってどこだっけって考えてしばらくしてから、「あ、夢か」と思った。
夢の中でも私は今と同じ歳で、夢の中みたいに、いつだってなんだってやっていいんだし遅くないんだと思った。けど、大学院は行きたくないなと思った。
そっか、別にもう今までと同じことやり続けなくてもいいんだ!
そう思うと不思議な爽快感があった。

編集者をやめたことをずっと自分が逃げたとか挫折みたいに思ってた。
けど、今日、その夢を見て、私は編集者をやり切ったからもうやめたんだとわかった。
わたしは人が著者や編者の本、人が企画した本を作りまくった結果、人の本を作るのはもういいと思ったからやめた。
やりきったからおしまいってなったのがわかった。


編集者だったとき、うまく仕事につけなかったこと、仕事で言われた嫌なこと、自分を否定する言葉、そういうのがいつも自分にベタベタ張り付いてくるから、
私はそいつらの言うことを否定したくて、ものすごい気を張って一冊作っていた。
いっつも、一冊出来上がるたびに、私に嫌なことを言ってきた当人の目の前に私の作った本を突きつけて、「ほら見たことか、見返してやったぞ、お前の言ったことは全然当たってない!お前の思ってる私ではない!!」という気持ちで、やっていたような気がする。
そういうのを、もう私はしなくていいんだと思った。
これからは、自分のために作っていいんだと思った。
私は私の良さをよくわかっている。
それを出せばいいだけっていうのがわかった。


もう私には見返すあいつらはいない。
張り合いがなくなってつまらないと思ってたけど、多分これはいいことなんだと思う。やっぱりまだ自分のためにやることは慣れないけど、これから少しずつ慣れていきたい。

20221027-20221105 『書くことについてのノート』予約開始、ニュースレター発行

10月27日

朝原稿。昼から大阪で仕事。朝一で大阪行く用事があったけどなくなった。

10月28日

朝原稿。昼から大阪で仕事。帰ってきて続き。ざっと見て提出。なんか先週まであった鬱屈がだんだん取れてきた感じ。

10月29日

朝研修。昼鎌倉殿の再放送。『書くことについてのノート』編集。
いろいろ助成金とか調べてたけど使えそうなものがあまりないので、これを売って、『言葉の地層』の印刷費に回すことにする。

10月30日
「男性と家事」2回目更新 家事ってコミュニケーションなんだと思う 白央篤司さんの場合

wezz-y.com


ニュースレター発行

yagakusha.substack.com



10月31日

朝おでん作った。昼から大阪で仕事。『エルピス』見て明日の準備して早々に寝た。セリフうろ覚えなのだが、声と話し方でニュースの真実味が変わるから、アナウンサーは最初に声の出し方を訓練するんだみたいな話があった。それが、小さな声を聞くとか声をあげられない人のためにとか言いがちな報道関係者が一番声を大事にしてないって皮肉みたいにも聞こえた。

ネットは言葉じゃないと発信できない。当たり前だろって感じなんだけど、対面のコミュニケーションっていうのは、言葉の前に音と声がある(それがろうの人は手話だったり、二重障害の人は指文字だったり、吃音の人は最初の音のつまりだったり息の音だったりする)。
SNSが虐げられた、生産手段や資本を持たない人にとって声を上げられるツールとして果たす役割も大きいが、発信するためには言葉が必要になる。その言葉だけを切り取ってニュースが作られていってるような感じがする。
報道だけでなく自分も、結局どんどん流れてくる言葉を見ているだけで、それでどっちにつくか決めて、それって本当はその人の声を聞いてないんじゃないか。そういうことを見ながらつらつら思った。

11月1日
朝大阪の仕事、昼から取材(受ける方)。夜耳鼻科にインフルワクチン打ちに行ったけど、先生には「日本はみんなマスクしてるから流行らへんのちゃうかな〜っ」て言われて、打ち損と思ってしまった。
中綴じ用のホッチキス発注。

11月2日

午前は昨日のワクチンのせいで本調子がでず、うちで作業。午後ちょっと大阪の仕事。
『書くことについてのノート』の準備。中綴じホッチキスが届いた。

11月3日
『書くことについてのノート』何人かから申し込みがあってありがたい。ドネーションの方もいらっしゃり、うれしい。応援してくれてる人がいるのだから、腐らず地道にがんばろう。

『書くことについてのノート』試し読み

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ご予約はこちらからです

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『プレーンソング』


保坂和志は『書きあぐねている人のための小説入門』しか読んだことがなかった。

何かのための読書とは対極にあるような小説だった。それがすごい小説って感じですごくよかった。もっといろんな小説を読みたくなった。


『スピン』


河出書房から出た雑誌。先月買いに行ったら全然売ってなくて、330円なのにメルカリで1000円以上で取引されてて転売ヤーめと思っていたが、また最近店頭で見かけるようになった。鈴木涼美さんの小説、佐原ひかりさんの小説が面白く次回が楽しみだ。赤松利市さんのエッセイは、何も書いてない白い画面を見たらいっぱい書けるから高揚するみたいなことが書いてあって、やべーなこの人と思って、読んでて震えた。

『Pachinko』


やっとBook1の10まで行った。年内に読み終わりたいが、この調子で読み終われるのか。